世も末だなと思ったお坊さんの話。
田舎の私の実家では、
毎月近所のお寺のお坊さんが訪問し、お経をあげていくたびにいくらかのお金を包み、湯茶で接待する習わしがありました。
いつも経文を何と唱えてるのかわからないのが特徴の、おじいちゃんお坊さんが来ていましたが、
ある時からそれがその寺の跡取り息子の中年のお坊さんに変わりました。
ある時期、私が職にあぶれていたころ、家に居たらそのお坊さんが予告なしに現れました。
いつも予告なしなのですが。
そして、職にあぶれているのでゆとりはないものの、おもてなしとしてコーヒーを淹れて出しました。
家族と同居していたのでしょうが、なぜコーヒーだったのか、お茶が切れていたのかもしれません。
で、若い私は精一杯お坊さんをもてなし、世間話をし、無職なのにお金を包みました。
お金は、あとで家の経費ということで、母に精算してもらえたはずです。
ところが。
お坊さんは、お礼を言うどころかこう言いました。
「これコーヒーですか?(薄かったらしい)妹さんいらっしゃらないんですか?僕、妹さんの方が相性いいんですよね。」
思わぬ冷たい言葉に愕然としました。
こんなお坊さんの説法って、聞いたことありますか?
私はない、です。
妹は、当時東京で水商売していて、お客を取るために顔や体に人工的に外科的な細工をあちこち施して魅力的な外見にしていました。
話術もプロなので、うまいです。
男性を良い気分にさせ、話ひとつでたくさんお金を出させるプロですから。
なので、中年のお坊さんがたまたまいた妹にコロリと魅了されたのであろうことはわかりましたが・・
妹と比較されて嫌な気になっただけで、私には他に何も仏様の功徳を感じることができませんでした。
お金と引き換えなら別に毎月お経あげてもらわなくて結構なのに、勝手に来るからこちらも少々迷惑に感じているのに、さらに勝手に比較して嫌な気分にさせる・・・
お経には仏法僧を尊ぶべしとか書いてあるのにこれでは憎々しいだけ。
仏法僧など尊ぶ気にならないよ。と思ったあの日。
ショック過ぎてだいぶ後になってから母に打ち明けました。
そのせいではないのですが、今では実家では誰も仏教に興味がなくなり、お坊さんを家にあげなくなりました。
因果応報というか、もう相性の良い妹がいないのだから、ずっと来なくて良いよ。と思いました。